血圧は、体を動かす時に筋肉を収縮させる度に上がるものです。あるいは気温が下がると血管を収縮させますので、それによっても血圧は上がります。
これは通常の血圧上昇です。高血圧になっている場合は、こうした状態でもないのに平穏時の血圧が通常値よりも高くなっているのです。
こうしていつも血圧が高いままの状態になっていると、体に少しずつ負担がかかってきます。まず、血管です。血管の内壁が傷みやすくなります。それは引いては動脈硬化へと繋がりやすくなります。
動脈硬化は、生存率の低い脳卒中等の脳疾患にかかる直接原因といわれてます。もしも生存できても、車いす生活になってり言語障害等が残るのが一般的です。
この他、心筋梗塞等の心臓疾患、腎臓病をも引き起こします。いずれも危険な状態になるものです。
最高血圧が10mmHg上がっただけで脳疾患や心臓疾患にかかる割合は20%近くも上がるといわれるほどです。
高血圧は、年齢とともに避けられない部分はあります。しかし、30代40代とまだ若いのに高血圧の治療を受けている人も増えています。
治療を受けるほどでもない潜在的な高血圧患者を含めると、その割合は飛躍的に高くなるでしょう。
このような人が将来、年を取ってから症状が出るのは、時間の問題です。重篤な症状へ毎日、一歩ずつ進んでいるのです。
ある日突然、重篤な状態になってからでは、対応できることも限られてきます。逆に若いうちから日々、意識していれば十分予防できるのも高血圧なのです。
高血圧症とは
高血圧症を、簡単にわかりやすく説明してみます。血圧は、心臓が血液を体に送り出す瞬間の一番高い数値(収縮期血圧)と反対に心臓が血液を体に送り出した後の一番低い数値(拡張期血圧)によって示されます。
高血圧症とは、この数値が一定以上高い人の症状です。現在では、継続的に収縮期血圧:140mmHg以上または拡張期血圧:90mmHg以上であれば、高血圧症とされています。
高血圧症に自覚症状は通常ありません。しかし、主に循環系を圧迫し続けますので将来的には、心臓、血管、腎臓、眼等に障害を起こしやすくなります。心臓疾患では、虚血性心疾患や心肥大、心不全があります。
血管疾患では、脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)、動脈瘤、閉塞性動脈硬化症があります。腎臓疾患では、腎不全があります。
眼疾患では、高血圧性網膜症、網膜血管の閉塞症、視神経症があります。その他、合併症として糖尿病にかかる事例もあります。
男性の方が高血圧の人はやや多く、その約6割を占めています。年齢的には高くなるほど多くなり、70歳以上になると約7割以上の人が高血圧症になっています。
ただ、30歳以上の人でも既に5割近くの人が該当しているようです。とりあえず何の障害もなく暮らせていても、これくらいの若い年齢のうちから食生活の改善をして高血圧に備えるべきであります。
塩分を控えめに、お酒やカロリーも控えめに、野菜、果物を摂る、適度な運動等の生活習慣次第で血圧は改善できます。定期的な測定もして、自分の数値を常に把握しておきましょう。
高血圧の厚生労働省の見解
高血圧になっても、何の症状もありません。それが直接病気の原因になるものでもありません。しかし、どんな簡単な健康診断でも欠かさず行われています。
それは高血圧が万病の元であることが分かっているからです。特に循環器系の病気の遠因になっています。それも重大な病気である脳卒中、心疾患には大きな原因になっています。
現在の高血圧の診断基準では、最高血圧(収縮期血圧)140mmHg以上、もしくは最低血圧(拡張期血圧)90mmHg以上になっています。最高でも最低でもどちらかが基準値を超えると高血圧に該当するのです。
高血圧になると、血管への圧力が高くなります。これが長い間、続いていると血管も抵抗力を付けるために厚くなります。厚くなれば、同時に硬くなります。これが動脈硬化といわれるものです。
動脈硬化になれば血管は柔軟性を失って壊れやすくなるのです。その間、何の自覚症状もないままであるのが、高血圧の怖いところです。もろくなった血管が何かの弾みで破れれば、救いようのない事態も考えられます。
高血圧の人がどれだけ高い割合で循環器の疾患に陥っているかは、数年に及ぶしっかりした追跡データでも判明しています。それはたとえ現在、高血圧の診断基準に該当していなくても、高めの血圧であれば大いに関係します。
将来的に循環器の疾患にかかる高い可能性も示しているものなのです。それぞれの血圧に応じて、それなりの高血圧対策を講じることが求められるのです。