高血圧の方にめまいの症状のある人がいます。なんとなくイメージ的には高血圧にありそうな症状の一つです。
ですがめまいのメカニズムでは、高血圧が原因で起こるとは考えられません。高血圧に起因した合併症が引き起こしていると考えられています。
めまいは、脳内の血流不足が原因で起きるのが普通です。ですから、むしろ低血圧症で起きる症状なのです。いろいろな臓器に十分な血液が行き渡りにくくなると、脳の神経が反応してめまいになるのです。
ある程度の血流減少には耐えられるようにはなっていますが、体調が悪いとさらにふらつきにもなります。高血圧でめまいがしたと思って、血圧降下剤など飲んでは逆効果になるのです。
高血圧により脳梗塞が起き、血流に障害が出た場合にも発症します。このような時、体は血圧を上げて血流を促そうと反応するものです。そこに血圧降下剤などを飲んでも、体の反応に逆らってしまうことになるのです。
結果的には、さらにめまいが悪化し、ふらつきも起こしたりもするのです。こんな時の血圧は確かに高いことも多いのですが、それはめまいにより一時的に高くなっているものに過ぎません。
血圧は適正な範囲内で上下する限りは、極めて健全な状態です。寒い季節になれば多少は上がるものですし、暑い季節になれば多少下がります。バランスを壊して高くなり過ぎたり低くなり過ぎたりしなければ良いのです。
それが壊れると、めまいだけでなく頭痛等の症状も発生するのです。定期検査をして薬の量の調節をすることも、めまい等の諸症状を予防できます。
高血圧の症状(むくみ)
高血圧の人に、手、足、顔等がむくんでいる人がいます。むくみというのは、体内の余分な老廃物や水分が排出されないと発症するものです。まずは、それが高血圧とどう関わっているのかについて知っておきましょう。
高血圧になるとむくみが出るのは、その合併症を経由するからです。それは主に心臓障害と腎臓障害でこれが起きると、それを補おうとしてさらに高血圧を促進させます。悪循環に陥ってしまうことがあるのです。
まず心臓については、高血圧が長く続くと、心臓への負担が次第に大きくなるのです。すると、極端な例では心不全にもなるのです。
血液を送り出す機能が弱くなりますから、血液の循環も滞りがちになるのです。特に循環器系の末端にある肺で血液が溜まりがちになります。
そうなると、静脈で血液が流れにくくなり、足がむくむのです。心臓が弱くなるのですから、他にも階段を上ったりした後の息切れがひどくなったりとかも起こるでしょう。
次に腎臓については、高血圧になると腎臓の機能を支える糸球体に張り巡らした毛細血管が硬くなるのです。すると、ろ過機能が低下し腎臓機能が低下するということになるのです。
こうして老廃物の排出ができなくなり、むくみとして現れるのです。腎臓障害によるむくみの特徴は、足だけでなく全身に万遍なく現れるといいます。
その他に妊婦さんに特徴的な「妊娠高血圧症候群」があります。妊娠中期を過ぎると、高血圧やむくみの症状が出やすくなるのです。このメカニズムはまだはっきりと解明されていません。
高血圧の症状(吐き気)
高血圧はある日突然、脳卒中を引き起こすものと恐れられています。しかし、よく気を付けていれば発症のその前にその兆候が現れているものです。
高血圧は、重篤な症状だけでなく、密かに些細な症状も引き起こしているのです。そのまま気が付かずに見過ごしているケースもあるでしょう。
「サイレントキラー」といわれてますが、注意すれば信号も発しているのです。例えば吐き気です。吐き気だけでなく嘔吐を伴う場合もあります。その仕組みはこうです。
血圧が高くなると動脈硬化が起きます。動脈硬化が起きると、血圧が高くなっても血管は硬くなっていますから、広がりにくくなっています。
こうなると脳内の血液循環も悪くなり、脳圧が高くなるのです。この結果、延髄の嘔吐中枢神経が刺激され吐き気へと繋がっていくのです。
吐き気を催させるものに、耳の三半規管の不調による場合があります。船やバスで長時間揺られていると、三半規管の調整力の弱い人は酔いやすいものです。
同様に、高血圧になると三半規管への血液循環が悪くなり、三半規管による平衡感覚を失うのです。この結果、吐き気や嘔吐へと繋がっていくのです。
船酔いのような思いあたりもない吐き気や嘔吐があれば、高血圧を疑ってみるべきです。とりあえず血圧を測りましょう。ちょっとした症状では、本人はただの疲れが原因くらいと思い込みがちです。
ですから、周りの人たちも気を付けてあげることも大切になってきます。症状が続くようであれば、病院で診察を受けさせましょう。
高血圧の症状(しびれ)
高血圧が引き起こす諸症状に、しびれもあります。高血圧によるしびれは、脳細胞の壊死が原因になっています。
この脳細胞の壊死は、脳内の血管が詰まって細胞に血液が届かなくなることにより起こります。脳梗塞もまた、高血圧による動脈硬化によるものです。高血圧による脳梗塞の初期症状として、しびれがあるのです。
一般には脳梗塞の起きた場所によって、反応してしびれる場所が決められます。大雑把には、右脳であれば左半身が左脳であれば右半身がしびれます。
それも左右同時にしびれることもありえますので、安直な判断をして安心しない方が良いです。神経系のしびれのように、ピリピリしたしびれではなく、広い範囲にじっとり染みついたような低周波のしびれになります。
症状がひどくなると、しびれだけでなく痛みにもなって、それが下半身に出ると歩けなくなることもあります。
それは「閉塞性動脈硬化症」といわれ、一時的なもので安静にしていればすぐに回復はします。しかし、慢性的に繰り返しやすくもなるのです。
この他、頭痛、吐き気、嘔吐、めまい等が同時に起きることもあります。これらも全て高血圧による諸症状になります。
まれに、「半盲」といって視野が狭くなることもあります。左右両眼とも視界が片側半分になってしまうのです。
しびれが出ても思い当たることがなければ、高血圧を疑ってみましょう。その時点で病院で正しい措置をすることができれば、高血圧による脳出血等の重い症状が予防できることもあるのです。
高血圧の症状(目)
目の網膜には毛細血管がびっしり通っています。高血圧のために、この毛細血管が詰まってしまうことがあるのです。高血圧になると、まず網膜の動脈が細く硬くなります。
すると、その周囲の動脈も連動して圧迫されて硬くなったりするのです。こうなると、血流の弱い静脈に血栓が詰まることがあります。これが、網膜静脈閉塞症です。
詰まった部位が網膜の中心静脈付近の場合は、中心性静脈閉塞症と呼ばれます。一方、静脈の枝割れした静脈が詰まる場合は、静脈分枝閉塞症と呼ばれてます。この場合の方が、一般的です。
症状は、視野の一部欠損ですとか視力低下です。出血した血液が網膜内に広がってしまうと、網膜が腫れ上がって物が見えにくくなります。
部位と程度によっては、眼底出血をしても何の自覚症状のないこともあります。高血圧の人の中でも高齢者に多くなります。
静脈に比べて頻度は低いですが、詰まりは動脈にも起きる場合もあります。これは、 網膜動脈閉塞症です。動脈の場合、症状が一気に出ます。
急に視界全体、または一部が真っ暗になるとかです。眼底出血こそ起きませんが、網膜の動脈が詰まると網膜組織が壊死してしまいます。
治療は薬物の服用やレーザーによる外科的治療があります。発症する前に、眼底を検査しておけば未然に防ぎやすい部位でもあります。眼底は、血管の状態が直接目視で確認できるからです。
出血してしまう前にチェックをしておけば、事なきを得るという可能性の高い部位なのです。定期検査等では眼底も診てもらうと良いでしょう。
高血圧の症状(肩こり)
高血圧が原因で発症するという肩こりがあります。そもそも肩こりの原因究明は、難しいものです。普通に多いのは、姿勢が原因の肩こりです。
長時間にわたるディスクワークで肩こりになったというのが、一般的な肩こりです。
手作業、目の使い過ぎによっても、疲労が肩に溜まってしまいやすいものです。肩を回してみたりして、血行促進の刺激をしたりして治そうとするのは良く見る光景です。
肩こりになったからといって、血圧を測定しようとする人はまずいません。高血圧と肩こりとは、繋がりにくく感じるからです。高血圧になると血行が不良になりがちなのです。
そうすると、普通に体を動かしているつもりでも、どこか体に負担をかけてしまうのです。その無理が溜まりやすいのが肩なのです。
酸素や栄養分が不足すると、筋肉が腫れぼったくなったり硬くなったりしてしまって肩こりとなるのです。肩こりになると、それを改善しようと血圧をあげて血液を送り込もうとします。
するとさらに高血圧を引き起こすと言う悪循環が始まるのです。高血圧を直せば肩こりが治り、肩こりが治れば高血圧も治るという図式が展開されます。
特に姿勢に問題も感じられず、疲れの溜まる様なこともしていない場合は、高血圧が原因なのかもしれません。とりあえず測定してみることをおすすめします。
高血圧が原因の場合は、ストレッチなどいくらやっても、いつまでたっても治りません。どうしても改善しなければ、病院で診察を受けましょう。
高血圧と鼻血
鼻血が出るのは、のぼせた時とか鼻に物がぶつかった時です。何でもないのに出る場合も、まれにあります。本人は意識していなくても、何かを見て刺激を受けて興奮したという場合もあります。
このようなことに見覚えのある人も多いでしょう。中には、くしゃみをしただけでも血が混じっていたりすることもあります。
鼻水が出るからと鼻をかんだら出血したとかもまたあります。血液の改善薬の副作用でも、鼻血が出やすくなることもあります。
これらは全て、鼻の奥にある毛細血管が破れて出血しているのです。通常は一時的なもので、少量出血したところで安静にしていればすぐに止まります。
それがその原因が高血圧の場合は、少し難しくなります。
高血圧で硬化して破れやすくなった毛細血管に刺激を与えることによる出血です。高血圧がひどくなると、大した刺激でなくても、鼻血が出やすくなり止まりにくいのです。同時に頭痛が引き起こされることもあります。
あまりに日常的に鼻血に悩まされるようでしたら、腎性高血圧も疑いましょう。高血圧により腎臓の機能が低下し、血液中のカリウムが減少する低カリウム血症によるものです。この場合、腎不全までも警戒するべきです。すぐに病院に行きましょう。
鼻血はいくら出ても、動かなければそのうち止まるものではあります。ほとんどは一時的なものではあるのです。
しかし気になるほどであれば、そのような固定観念は捨てましょう。
血圧の高い人は、重大な疾病のサインなのかもしれません。早めに治療さえすれば、改善もできるものです。
高血圧と腹痛
高血圧の症状の中に、腹痛はあまりありません。高血圧で毛細血管が詰まったり破れたりすることによる症状として頭痛はあります。脳内の毛細血管の障害による脳梗塞等がそれです。
血圧の変化による腹痛でしたら、急に低血圧になった場合に起きることがあります。低血圧により全身に血液が回らなくなったら、どの臓器も動かなくなります。これをショック状態といいます。
ショック症状になる場合は、大量出血によるもの、心臓の機能障害によるもの、毛細血管の拡張によるものがあります。
このうち心筋梗塞、不整脈等の心臓の機能障害は、高血圧が原因であることもあります。つまり、高血圧が循環機能に障害をもたらし低血圧になったため腹痛になるというパターンです。
高血圧で腹痛になるのではなく、腹痛が原因で高血圧になる場合もあります。
痛みは交感神経を活発にさせるからです。腹痛が一時的なものであれば高血圧も一時的なもので、しばらくすれば血圧も下がります。気になるようでしたら、継続的に計測してみることです。
それでも、下がらない場合は病院に行ってみましょう。腎動脈が狭くなっていることにより、腹痛と高血圧が生じていることもあります。
ホルモンの分泌異常があるかもしれません。稀に若年性高血圧になる人もいます。若い人でも、食生活で塩分や脂分を摂りすぎている人も多くなりました。
ストレスも多くなりましたので、腹痛になったり血圧が高くなったりすることもあるようです。