高血圧を食事で治そうとするなら減塩食に切り替えれば大丈夫ですとか、簡単にいわれてます。
外食、加工食品で簡単に食事を摂らずに、薄味で料理していただくと減塩食が食べられます。それだけで血圧が下がるといいます。果たしてそうなのでしょうか?
高血圧に塩分が悪影響していることだけは、はっきりしています。ですから減塩すれば、血圧に好影響が出るというのもはっきりとはしています。
それは疑いのないところですが、それで誰もが高血圧から解放される訳ではないのです。このような人たちの高血圧を食塩非感受性型の高血圧といいます。原因が塩分でない高血圧もあるのです。
この場合、いくら味付けを薄くしたところで効果は上がりません。一つ考えられるのは、動物性脂肪の過剰摂取が原因の場合があります。動物性脂肪は、肉や脂分に多く含まれています。
カロリーがとても高く活力の出る成分もありますが、摂り過ぎは肥満の原因になります。高血圧は肥満になるだけでも起きるのです。余分な肉が血管を圧迫してしまうからです。
肥満はその他あらゆる生活習慣病の原因でもあります。塩分ではなく、物性脂肪を摂り過ぎないように改めてみましょう。
また、糖分も肥満の元になります。お菓子等の甘いものも控えるとさらに効果的です。要はダイエットをしようということになります。
和食を中心とした質素な食事にして満腹になるまで食べないことです。野菜を先にいただいてから、時間をかけてよく噛んで、仕上げは腹八分を習慣にしましょう。
高血圧を改善する食事
高血圧の食事療法は、何と言っても減塩食に尽きます。特に加工食品の味付けは濃くなっているものです。市販の惣菜類の塩分も多めになっています。なるべく自分で減塩食の調理をするようにしましょう。
ラーメン、そば、うどん等のスープには、1杯でも5g程度の塩分が含まれています。それだけで一日に必要な塩分の量に達してしまっているのです。よく出汁の効いた美味しいスープだからといって、全部飲み干すものではありません。
味噌、醤油等も塩ではありませんが、塩分はかなり高いものです。独特の栄養素も多く含まれていますので、体には良いのですが、摂り過ぎには注意しましょう。
醤油は、おかずにかけてしまうとついつい大量にかかってしまいます。それよりその都度、醤油にちょっとずつ付けていただくようにすると自然に摂取が抑えられます。
減塩醤油も販売されていますが、代わりに使うべきはレモン汁等の酢です。これを混ぜて醤油の代わりに酢醤油にするのも良いです。水で薄めるよりは風味も損ないません。
その他、胡椒、ペッパー、しょうが等で味付けするのも良いです。調味料自体があまり必要のない香味野菜をふんだんに取るようにするのも効果的です。
意外なのがパンに含まれている塩分の多さです。食パンはそうでもありませんが、菓子パンになると1個で最低でも1gはあるようです。パン食の方は、この際ご飯に切り替えるのも良いでしょう。
一日の主食は夕食です。消化器が最も活動するのが夕食時ですから、それは理にかなっているのです。塩分の排出活動も同様にこの時が活発です。
ですから塩分を摂るなら夕食時を狙うことです。減塩食にしたら物足りなくなって、その分余計に食べてしまっては意味がありません。
むしろ逆に塩分摂取量が増えてしまう例もあります。このようなケースにならないためには、毎日食べたものを記録をすると良いといわれてます。
それだけで、毎回の食事での塩分摂取は気にするようになります。大体の塩分量も併せて記載すると、より効果的です。
高血圧を改善する食材
血圧を下げる効果のある食材は、いろいろとあります。高血圧の最大の原因になっている塩分を排除するという観点に絞ってみます。過剰な塩分を排除してくれる機能のある食材には、次のようなものが代表的です。
体内で塩分と結合することによって塩分を体から排除させるする成分にカリウムがあります。このカリウムを多く含んだ食材に、ほうれんそう、小松菜、さつまいも、アーモンド等のナッツ類があります。飲み物では、緑茶、トマトジュース(ただし、食塩無添加)等になります。
カリウムは高血圧の特効薬といわれてます。かと言って、摂れば摂るほど血圧が下がる訳ではありません。大体、一日に3.5gを目安にしましょう。これを超えると、逆に血圧が下がり過ぎすぎによる低血圧、めまい、不整脈も起こり得ます。
でも普通に食事をしている限りは、そのようなことはありません。ただし腎機能が弱っている場合は、そうでもありません。カリウムが排除されずに、高カリウム血症になる場合もありますので、特に注意しておきましょう。
食物繊維は、塩分を丸ごと包み込んでしまいます。食物繊維は消化されませんので、そのまま塩分とともに排除されるのです。どのような食材に多いかは分かりやすいものです。見た目的にも肌触り的にもそれと分かるものばかりです。
根菜を始めとする野菜類です。さつまいも、ごぼうは代表的です。わかめ、ひじき、昆布等の海草類も繊維は多いのです。いつもの野菜サラダに、アレンジして加えるか味噌汁の具材に一品追加するだけで、十分な量が摂れるものです。
高血圧を改善させる食べ物
高血圧は、食べ物の摂り方次第で改善できるのです。食べ物にはひとそれぞれ好みもありますので、自分に合った食べ物の摂り方を模索してみましょう。
これが習慣になって、毎日のように正しく摂取できるようになるとその効果も期待できるものになります。一般的に高血圧に有効な食べ物は以下の通りといわれてますので、参考にしてみましょう。
・タンパク質の多いもの
植物性タンパク質食品の代表として大豆製品があります。大豆製品の中でも納豆のナットウキナーゼは、血栓を溶かしてくれます。血液の粘ばりを緩くしてくれますので、血圧も下がるのです。
動物性のタンパク質食品の代表には、卵、牛乳、魚等があります。青魚に多いDHAとEPAは広く知られています。
DHAとEPAは、血管壁の柔軟性を高めてくれるのです。血管壁が血流のクッションになってくれますので、血圧が下がるのです。
・植物性栄養成分の多いもの
植物性栄養成分は、ポリフェノールのことです。ポリフェノールは、細胞を老化させる活性酸素の働きを抑制してくれます。細胞が老化すると、血管も固くなって血圧も上がりやすくなるのです。
ナス、ブルーベリー、トマト、にんじん、ぶどう等に多く含まれています。動物でもイカ、さけ等に多く含まれています。このどれもが、紫、赤等の色が鮮やかなことが特徴的です。
・カリウムの多いもの
カリウムは、余分に摂り過ぎた高血圧の主原因になる塩分を体外に排出させる作用があります。りんご、バナナ、ほうれん草、パセリ等に多く含まれています。
高血圧を改善する食品
高血圧を改善する方法には、余分な塩分を排除するのが最も知られています。それ以外にも方法はいろりろとあるのです。その一つに、交感神経の働きを抑える方法がります。
交感神経が働くと血圧が上がるようになります。そこでその働きを低下させると血圧も低下するのです。その他、腎機能の改善にもなります。
・タウリン
まぐろ、貝類、たこ、いか等魚介類に多く含まれています。大体、一日に3~6gを目安にしましょう。しかし、この量は普通の食事だけでは厳しいかもしれません。栄養ドリンクでも有名になった成分です。
サプリメントで補充しましょう。血管を柔らかくさせて血流を良くすることで、血圧を下げる方法もあります。
そのためには、血中の悪玉コレステロールや脂質を減らすことです。そうすれば血栓を防いで、血管が硬くなるのを妨げられるのです。
・α-リノレン酸」等の不飽和脂肪酸
くるみ、わかめ、シジミ、植物性の油等に多く含まれています。特にくるみにはカリウムが多く、わかめには食物繊維が多いです。これは塩分排除機能も高くさらなる血圧低下効果が望めます。
・カテキン
カテキンを増強した緑茶のCMでも知られているとおり、緑茶に多く含まれています。一日に1gを目安にしましょう。
これは、一杯目の濃いお茶に換算すると10杯くらいになります。朝食で1杯、昼食で1杯、午後に1杯、夕食で2杯でも、半分にしかなりません。意識的に多めに飲むようにすることです。
食事における高血圧症のガイドライン
高血圧治療ガイドラインには、高血圧を食事で治療する方法についても示してあります。
それは次の3本の柱を基軸にしているものです。
1.塩分制限
塩分は高血圧の大敵です。高血圧治療ガイドラインでは、塩分の目標を1日6g未満としています。塩分は、食塩だけでなく醤油やソース等の調味料にもふんだんに含まれています。
これをなるべくかけない薄味料理にしていくことです。現状の日本人の食塩の摂取量は、1日12g程度とかなり高くなっています。これは和食の欠点でもありますが、これを半減させるというのは急には難しいものではあります。
2.野菜や果物の摂取の促進とLDLコレステロールや飽和脂肪酸の摂取の抑制
野菜や果物に含まれているカリウム、マグネシウム、カルシウムが高血圧を抑制する働きをしてくれます。ただし、腎機能に障害があればカリウムが血液内に溜まる高カリウム血症を誘発させるかもしれません。
糖尿病や肥満であれば、果物には糖分も多いので果物はすすめられません。LDLコレステロールや飽和脂肪酸は、血管に付着し血管内を狭くし血流を阻害するとともに柔軟性を損ねます。これにより合併症を引き起こさせるものです。
3.低カロリー食
塩分の次に、肥満も高血圧の原因になります。減量するだけで改善される高血圧もあるのです。低カロリー食こそは、減量を現実にしてくれるのです。
具体的には、野菜、海藻類中心が基本の食事となります。肉類も良い栄養素もありますが、控えめにしましょう。砂糖も高カロリーです。同時に塩分も減らして薄味を意識しましょう。
代わりに酢、わさび、からし、ゆず、こしょう、生姜、その他薬味類を多めに使えばいい味を出せるものです。だしを昆布や鰹節等でしっかり出すのも効果的です。
煮物等に入れる砂糖を控えられれば、自然と醤油も控えられるのです。素材の良さも大切で、素材が良ければ味付けも薄くても美味しくいただける料理になるものなのです。