昔は、年齢とともに血圧が上がるのは自然なこととされていたものです。そこで最高血圧が年齢プラス90以内であれば、正常血圧とされていました。現在では、年齢によらない基準が適用されています。
最高血圧は140mmHg以上、最低血圧は90mmHg以上を基準にしています。このどちらかでも基準を超えていれば、高血圧という診断がくだるのです。
この基準値とどれだけかい離しているかによって、高血圧の重篤度もⅠ度からⅢ度までに分けられています。
最高血圧140mmHg~159mmHgかつ最低血圧90mmHg~99mmであれば、Ⅰ度高血圧といいます。
最高血圧160mmHg~179mmHgかつ最低血圧100mmHg~109mmであれば、Ⅱ度高血圧といいます。
最高血圧180mmHg以上または最低血圧110mmHg以上であれば、Ⅲ度高血圧といいます。
これに該当しない正常域血圧の場合でも、次の3段階に分けられています。
最高血圧120mmHg未満かつ最低血圧80mmHg未満であれば、至適血圧といいます。
最高血圧130mmHg未満かつ最低血圧85mmHg未満であれば、正常血圧といいます。
最高血圧130mmHg~139mmHgまたは最低血圧85mmHg~89mmHgであれば、正常高値血圧といいます。
より高血圧になるほど脳卒中になりやすいのも分かっています。理想的である至適血圧の人を基準にした場合に対するリスクの高さは次の通りです。
正常高値血圧の人は、約1.7倍、高血圧I度、II度の人は約3.3倍、III度の人は約8.5倍にもなるのです。
高血圧とはどのくらいを指すのか
高血圧には診断基準がありますが、この測定数値は一定した結果が出ているものでもありません。血圧はその日その時の状態によって変化しやすいのです。
一般に病院で測定すると、緊張しますので血圧は高めになります。それも踏まえて、高血圧の基準値も高めにしているのです。
そこでよくある勘違いが、血圧測定器を購入して自宅で測定する場合に起こります。自宅で測定器があれば頻繁にチェックできますので、日頃から血圧への意識も高められるのでおすすめできます。
また、病院で測った一回きりの数値ではなく、正しい測定方法で日に何度も測定できますのでより正確な状態を掴みやすいのです。高血圧の薬を服用していれば、その効果のチェックもできます。
自宅で測定すればリラックスしていますので、血圧は下がって当たり前でもあります。どれくらい違うのかというと、概ね5mmHgは低くなるようです。
最高血圧も最低血圧も5mmHg下げた数値が、高血圧の診断基準としましょう。ですから、最高血圧135mmHg以上または最低血圧85mmHg以上と認識しておきましょう。
24時間自由行動下血圧測定なる方法であれば、より詳しい数値が取れます。これは病院で自動血圧計をもらって、24時間休みなく血圧を記録し続けるものです。これによる基準は、次の通りです。
24時間:最高血圧130mmHg以上かつ最低血圧80mmHg以上
昼間:最高血圧135mmHg以上かつ最低血圧85mmHg以上
夜間:最高血圧120mmHg以上かつ最低血圧70mmHg以上
高血圧による症状のチェック
高血圧には、これといった自覚症状はありません。よほどの異常値でもない限り、検査をしなければ診断できないものです。
そうしているうちにある日突然、脳出血等の命に関わる症状を発するのです。これが「サイレント・キラー」と呼ばれる所以です。
高血圧は「サイレント・キラー」とは呼ばれていますが、それもセンサーを働かせれば話は違います。重篤な状態になる前に、必ず体に生じている微妙な変化はあるのです。その中には頭痛、耳鳴り、肩こり等もあります。
しかし、そのような症状は単に疲れからだったり他の原因によることもあります。しびれ、めまい、胸の痛み、動悸、息切れ、むくみ等になるとかなり重い症状になります。
それでもその原因が高血圧とは、思わないこともあるでしょう。
胸の痛みは、心筋梗塞、狭心症、心室性不整脈等の心疾患によるものが考えられます。この心疾患の原因が高血圧の場合もあるのです。血管への圧力が高いまま長い時間が経過するうちに、血管は硬くなります。
すると心臓は血圧を上げないと、末端まで血液が行き届きにくくなるのです。血圧を上げるためには、心臓が大きくなって心肥大にもなります。そこで心筋梗塞、狭心症、心室性不整脈等を引き起こすのです。
高血圧を放置していると、それだけで心筋梗塞になる可能性が数倍にもなるといわれてます。さらにそこに他の生活習慣病が加わりますと、その可能性は飛躍的に高くなるといわれてます。
高血圧であれば、重大疾患の予兆に神経を使いながら生活習慣を改善するに尽きます。